一般社団法人立川南環境改善まちづくり協議会

東京都立川市、立川駅南口すずらん通りで、環境浄化や街の美化、地域環境活動を行っております。

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Column

秋山 廣の左利きコラム

女性は左ききである

予告をして置きながら、何ヵ月が過ぎてしまったが、『左ききの卒業式祝辞』についてコラムする。

当協議会の仕事である「まちづくり」とは、雑多な問題を一つひとつ丁寧に具体的に解決していくことと思っているので、『雑の思想-世界の複雑さを愛するために-』(大月書店)を読んだ。編者は、明治学院大学国際学部教授(当時)である高橋源一郎(作家・評論家)と辻信一(文化人類学者)の二人である。

第2章【「雑」なる民主主義・「雑」なるエコロジー】の冒頭に、アメリカの女性SF・ファンタジー作家であり、『ゲド戦記』の作者であるアーシュラ・クローバー・ル=グウィンが、名門女子大ミルズ・カレッジの卒業式に招かれて「左ききの卒業式祝辞」というタイトルの講演内容が出てきて、左利きの私としてはタイトルに引き付けられた。全文は長いので、高橋源一郎氏の言葉を引用する。

 「タイトルの左ききの話はひとつもでてきませんが、『左きき』とはマイノリティを象徴する言葉なんですね。たとえば、SUICAのタッチパネルは右きき用に作られていて、左ききの人間は手を交差してタッチしなければならない。そのことを右ききの人間は知らないけれど、左ききの人間は知っている。つまり、自分たちに向けて作られてはいないということを、マイノリティは知っているけれど、マジョリティは自分たちに向けて作られていることに気づかない。」

そして、「女性はこの社会でいわば『左利きの存在』だと語りかけています。男性社会の中で負けずに戦うためにはどうすればいいのか。そして戦う場所はどこなのか。『それは皆さんの足下にある』とル=グウィンは言っています。女性は大地に根を張り、その豊かな闇の中ですべてを見ていた。男性たちがいつも『空』を見上げて、空疎で観念的な言葉を振りまいていたときに。だからこそ、よく知っている豊かな大地を見つめて、そこをあなたたちの戦う場所にしなさい、と。

イデオロギーや宗教は見上げた『空』の彼方にある。だが、生きていくのに必要なものはみんな大地から収穫されるのだ、とね。男は『空』を見上げて戦争に行くけれど、そのさなかも、あるいは終わった後も、食事を作るのは女性の仕事とされ、食事がなければ人間は生きてはいけない。」

第4章【「雑」に向き合う宗教・「雑」を取り入れる経済】の【「雑」と女性性、そして植物】の中にも『左ききの卒業式祝辞』の最後の部分が登場する。

「みなさんが失敗したり、敗北したり、悲願にくれたり、暗がりに包まれたりしたとき、暗闇こそあなたの国、あなたが生活し、攻撃したり勝利を収めるべき戦争のないところ、しかし未来が存在するところなのだということを思い出してほしいのです。私たちのルーツは暗闇の中にあります。大地が私たちの国なのです。どうして私たちは祝福を求めて天を仰いだりしたのでしょう――周囲や足下を見るのではなく? 私たちの抱いている希望はそこに横たわっています。ぐるぐる旋回するスパイの目や兵器でいっぱいの『空』にではなく、私たちが見下ろしてきた地面の中にあるのです。上からではなく下から。目をくらませる明かりの中ではなく栄養物を与えてくれる闇の中で、人間は人間の魂を育むのです。」

 これだけ読むと、ル=グウィンはフェミニストか? と思われるが、男と女が生きていくための立ち位置を明確にしているだけであり、重くて奥深い言葉である。ル=グウィンは祝辞の中で次のようにも言っている。

「私たち自身のやり方でことを進めたらどうかとお話しているのです。いえ、彼らに『対抗しろ』と言っているのではありません。なぜなら、それもやはり男性の規則に従ってプレイすることになるのですから。そうではなくて、私たちとともにいる男性と手を合わせて進むのです。」と。

 「見下ろしてきた地面の中」「暗闇」「闇の中」というように『祝辞』とは程遠い言葉が登場するが、女性の生きる場所(立ち位置)を指している。

なぜ、私が心を奪われたのかというと、家族に不幸があり、男と女の違いを思い知らされているからである。男と女の違いは頭ではわかっていたが、違いを現在進行形で実感し、妻と向き合っているからである。しかし、『空』を見上げている私がどこまで付き合っているかは疑問である。どこかで逃げていることも実感しているからである。

最後に、朝日新聞朝刊(2019.06.14)の「折々のことば」に出ていた言葉を引用したい。原発をめぐる住民主体の協議会への参加依頼が妻あてに届いた時のある夫婦の会話である。

夫「お前は社会を知らないから駄目だ(世帯主の俺が行く)」

妻「あなたは社会の歯車だから駄目よ(私が行く)」

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